魅惑的な者同士が出会った時
Nar forforere motes - 06/10/01
元記事:TOR MARCUSSEN in Aftenposten 翻訳:あきこ

創造者の力。Jan Kjaerstadは、賞を取った小説の中で、偉大な考えを持ったノルウェー人の1人として、Gro Harlem Brundtlandを挙げているが、代わりにポール・ワークターを選ぶべきだったと考えている。

Jan Kjaerstadは北欧評議会文学賞を受賞した。ポール・ワークターはa-haの功績として世界中のポップに関連する賞を受賞した。ローレン・サヴォイはポールの人生のクリエイティブな面の半分を担っていて、バンドSavoyはニューアルバムをリリースしたばかり。彼らは、成功、プレッシャー、クリエイティブな面でのプロセス、コミュニケーション、そしてスターであることにとても気を遣っている。

(写真下)
Jan Kjaerstad:小説という物が全盛を極めたのはもうずっと前のことだ。今は音楽が最も重要な文化活動だ
ローレン・サヴォイ:いい本を読むとインスピレーションが湧いてくるの。いい本には魔力があるわ
ポール・ワークター:"we don't give a shit--関係ないね"なんて言ってかっこつけるには、僕らは歳を取り過ぎている。僕らはやるべきことをやって、流行を気にかける必要はない

Jan Kjaerstad:我々ノルウェーにいる者は、ポール・ワークターやa-haが成し遂げたことをきちんと知っているわけではない。彼らは国際的なポップミュージックという、最も難しい領域の一つで世界を征服した。彼らは世界の芸術を作り出しているんだ。

ローレン・サヴォイ:ポールについて私も同じように考えているの。彼のような人は他にいないわ。彼はとどまる所を知らないのよ。彼は最も思いがけないことをする人。

ポール・ワークター:僕はそんな風には考えていないんだ。世界の文化活動の発展に貢献するとかなんてね。最高のものができる時って、深く考えたりはしない。ただひらめくんだ。

Jan:でも、そういうことも、期待や予想、プレッシャーや何かからの印象から得るものだ。

ローレン:あなたたちって火山みたいね。アイディアが、ブクブクいって沸き立って出てくるの。

Jan:ポールと私は心の近親者のようなものだね。2人とも恥ずかしがり屋だ。逆説的に、2人とも舞台に立って人前に出ることを選んでしまった。しまいには2人で一緒に修道院にでも入ることになるかもしれないね。

Aftenposten:あなたの小説に出てくるTVドラマの製作者Jonas Wergelandはポール・ワークターが基になっているのではないですか?

Jan:その通り。彼はノルウェーの文化活動の中で、最も重要な人物を選んだ。ハムスン、イプセン、ムンク。彼はGro Harlem Brundtlandの代わりにポール・ワークターを選ぶべきだったと、今になって気付いたよ。しかし仕方ない。登場人物を完全にコントロールすることはできないものなんだよ。

Aftenposten:あなた自身もミュージシャンだったんですよね?

Jan:ああ、でももうやってない。まるで双子の兄弟の片割れをなくしたようだ。何かが恋しいんだよ。良い音楽を聴く度に悲しくなるよ。

Aftenposten:Savoyは音楽だけではなく、詞にも力を入れてますよね?

ローレン:ポールは詞にものすごく時間をさいていたものよ。一言一言のためにね。今は楽になったわね。もっと自然で、のびのびしたものになって。

ポール:かなり罠にはまってしまっていたね。どの曲もすごく似通ってきてしまった。頭を切り替えるということもしなかった。自分で、もっと複雑にしてしまっていた。ローレンと一緒に書き始めたのが僕にとって新たな始まりだったんだ。シンプルなものが、急に、素晴らしいデキになった。

Jan:キミたちが羨ましいよ。一つの歌が与える魅力を、小説の1ページで与えられはしない。小説には言葉が書いてあるけれど、音楽がないと、何かが欠けているようなものなんだ。音楽は完璧に心に辿り着く。目を閉じて全体を感じることができる。だが、目を開けて詞を読むと、つまらないものになってしまう。ポップがすたれないのは、詞と音楽のつながりのお陰なんだ。

ポール:ローレンのお母さんは、いつも僕らの詞を変えたがるんだ。彼女は、『Velvet』の、"Her skin is like velvet"という部分が好きじゃなくてね。彼女は"like satin--サテンのようだ"としたくて、それから続いて、兄弟や伯父さん叔母さんを登場させたかったらしいんだ。僕らの書きたいようにしたけどね。

Jan:ポップミュージックの詞を書くのは難しいだろうね。4分間で全てが起こらなくてはいけない。4分間で人生を変えてしまうこともできるんだ。

ローレン:隣の芝生は青く見えるものね。私は、いい本を読むとインスピレーションが湧いてくるの。いい本には魔力があるわ。

Jan:そうだね。でも人にはそれぞれ自分の歌というものがある。何回も何回も聴くやつだ。本は1回だけ読むものだ。本は歌よりも理性に訴えるものだ。もっと直接的だ。そして、廃れやすい。

Aftenposten:ポール、あなたは本を書こうと思ったことはありますか?

ポール:あるよ。僕らが有名になる前、初めてロンドンに渡った時、スーツケースの中に原稿を入れてた。音楽に関わるうちに、どこかに放っておいたままになった。でも、絵はいつも描いてたし、今も描いてるよ。

Jan:小説は、もうずっと前に全盛期を迎えた。今や音楽が、最も重要な文化活動だ。進歩している力だと言える。ポップには、音楽もあれば、言葉もあるし、絵も映画もある。文学には言葉があるだけだ。

Aftenposten:Savoyのニューアルバム『Reasons To Stay Indoors』には、あなたのプライベートなことも描かれていますね。

ポール:そうだね。アルバムの曲は、心の中を描いたものだよ。僕らのことが描かれているんだ。でも一番いいことは、誰もが触れちゃいけないようなことに隠されているものなんだ。ポップ・アーティストって、自分の子供について曲を書くなんてヒップなことじゃないと思っている。僕らはそれをやった。そうしないと、何かが間違っているような気がした。それほど大事なことなんだよ。

Jan:このアルバムの音楽は成長していくんだよ。10冊の本を何度も読んだような感じだ。私はもうこのアルバムを、1月のうちに5回も聴いたよ。このアルバムは、私にとって、ポップ界の"state of the art--アートの世界"だ。このアルバムの中には何もかもが揃っている。シンプルなもの、複雑なこと、美しいもの、愛情を抱いている人たち。

ローレン:Jan、愛してるわ!それこそ、まさに私がいつもポールに言っていることなのよ。否定的な批評に影響を受けてはダメ。音楽が成長しているのを知らなくちゃ。それこそポールのアルバムの醍醐味なのよ。

ポール:詞を書いて、これは素晴らしいと思っても、それからが長いプロセスの始まりなんだ。レコーディング、リリース。最初に思い付いたものと同じようになんて絶対にならない。

Jan:これはいい曲だ、っていうのは、いつ分かるんだい?

ポール:僕は、曲のいい所を見つけようとするタチなんだ。ハーモニーが噛み合って、統一された音、色彩を帯びていて、ムードがあって…という音を聴いて、これだ、と思う。もっと良くしようと思えば手直しはできるけど、ある程度まで進むと、新しい曲を始めるために手を引かないといけない。僕らは、"we don't give a shit--関係ないね"なんて言ってかっこつけるには、僕らは歳を取り過ぎている。僕らはやるべきことをやって、流行を横目にして気にする必要はない。

Aftenposten:あなた方はマンハッタンに住んでいますが、9月11日以降、a-haが『Manhattan Skyline』を歌うことは難しくなりますか?

ポール:あの曲を今後もやることになるかどうかは分からない。でもある意味では、あの事件があった時にニューヨークにいたのは素晴らしいことだった。僕らのアパートのすぐそばで事件は起きた。ニューヨークは僕らの家なんだ。辛かったよ。あまりに近くだったから、怖かった。煙のせいで1週間、家の中に閉じこもっていなければならなかった。

ローレン:私には、ますます悪くなってるような感じがする。時間が経てば経つほどにね。毎晩悪い夢を見るのよ。子供のことを考えちゃうわ。

ポール:でも、アメリカの人たちは健全な反応を示している。知り合いの中に、報復を叫ぶ声なんて聞かない。むしろ、テロを起こした側の人間は一体どうしてそれほどまでに僕らのことを憎んでいるのかという、驚きに満ちた疑問の声を聞いているよ。

Jan:やはり歌は、人の心を和ませるものだということが分かるね。今、人々が頼りにしているのは音楽で、小説ではない。ポップの重要性を物語っているよ。ポップは、いい意味でセンチメンタルになれる。

ポール:僕の歌はセンチメンタルだと思っているけれど、わざとらしくならないようにしてる。人の感情のそばにある教会のようにならないといけない。でも、人の心の機微を誤って扱ってはいけない。

Aftenposten:何に一番時間を掛けていますか?1人で創作をすることにですか?それとも一般の人々に会ってコミュニケーションを図ることにですか?

Jan:間違いなく、1人で創作をすることだね。

ポール:Janが僕の代わりに答えてくれちゃったなぁ。部屋の中に入って行って、瞬く間に注目を集める人もいるけど、僕はそういうタイプじゃない。

ローレン:ポールって、1つのコードが狂っていたらコンサート全体が台無しになってしまうと考えるタチなのよ。全体をまとめては見ないのね。

Aftenposten:ポール、あなたは世界的なバンド、a-haにいながらにして、家族的なバンドSavoyを率いているという、珍しい人ですが、どのようにしてそれぞれのバンドに曲を選んでいるのですか?

ポール:Savoyの曲は2万人の人が聴く。a-haの曲は100万人の人が聴く。時々曲を投げ打ってしまって、Savoyの曲にしちゃおうかとも考えるけど、どれくらいの割合でそうなるかなんて分からないよ。Savoyのアルバムを作るのにスタジオにいなくちゃいけない時は、手持ちの中でベストな曲を使うね。で、a-haの時には、a-haのために作った曲の中から、ベストなものをピックアップする。

ローレン:私はa-haの大ファンだし、a-haには何もかもうまくいっててほしいと思う。だからa-haがポールと私が作って、Savoyでやった『Velvet』をプレイした時は、誇りに思ったの。本当に素晴らしかった。

Jan:Savoyのアルバムでモートン・ハルケットの歌声を聴くことは可能かな?

ポール:僕らは長い間一緒に仕事してきた。モートンが僕の曲を歌うのを聴くのには慣れている。彼には歌う声がある。僕には歌う意志がある。この2つの点は、全く同じということではない。ところでJan、あなたは北欧評議会文学賞を取った。成功した後に書くのは前よりも楽?

Jan:いいや、何が起きようと、書くことに変わりはない。新しい題材を選ぶ時には、数年先の自分のライフスタイルについても考えるんだ。書くことが僕の人生を決めるんだ。僕の才能といったら、気ままな想像力があるということかもしれない。アイディアはたっぷりあるんだ。現実には不可能なことを小説の中で描いていきたい。文章力より思考の強さの方が大事なんだ。時折僕は自分が感情的だと感じる。僕は今でもポップやロックを聴いている。実際ポップやロックが、僕の人生で一番価値のあるもののうちの1つでもある。ポップやロックの中にはパワーがある。17の時に恋していたのはどんな感じだったかと思い出させるような力がね。ポップは人々に夢を取り戻させるんだ。

Aftenposten:作家というと、教養の高い人ということになるものですが、ポップミュージックのミュージシャンもそうですか?

ローレン:ポールは大学には行ってないわ。でも彼は私の出会った人の中でも、かなり頭のキレる人の1人よ。

ポール:頭のことは僕の出る幕じゃないな。いつも人に話をするのが怖いんだ。

Jan:僕は丁度イエテボリ(スウェーデンの都市)の文学フェスティバルから帰ってきたばかりだけど、フェスティバルでは20人ものインタビュアー、TVの記者なんかを相手にした。家に戻った時はヘドが出そうだった。地元での試合とは、少々違ったね。僕はポップ・スターにはなれないね。